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Booking Void Inn AKIYAMAGOU

長野県 下水内郡 秋山郷 鳥甲山

37°2'23.21"N, 180°33'49.63"E

6, 16 - 8, 27
2007

 信州秋山郷の雪渓地帯に約2月弱滞在し、体温等で居住空間を掘り進めた作品。中津川から切り立つ鳥甲山の標高1400~1600mに位置し、積雪量は7mを観測する。雪は家をつぶし道を封鎖する。それはこの地域の人間にとって抵抗することをやめれば、そのまま死活を左右していく問題に直結していた。鈴木牧之が' 白魔 ' と呼んだその存在は、昼夜を問わずそれを動かすことを強要し' 雪囲'の様な町や家屋を大きな地形へとシフトさせる媒介装置を発達させた。屋根から下ろされた大量の雪は道を閉ざし、その高さは建物をしのぐ程となる。人々は交通の為に下ろされた雪を掘り、玄関と道、外と町を繋げなければ白い地文の中に閉ざされてしまう。足場の悪いところには雪を固め、それを階段の状に造形して町と地形が錯綜する土地の上を往来した。いつもなら何も無いところに掘る穴を探し、地形の中の必要だけがある空白として現れる。そこに住む人々は降る雪が溶ければ立ち所に消えてしまう即時の文化を、その脳の中に連綿と鍛えていったのである。
 雪は居ることとデザインすることが同時に起きている状態を、地形に織り込ませる契機に富んだ存在でもある。秋までの間、雪渓の変化する地形の中での滞在を記録したこの作品は雪国の都市を連綿と展開させてきた航海力を、すべてのプロセスがその中に吸い込みながら展開した。