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Frozen Murmur

Frozen Murmur (個展)

Stiching Kaus Australis
ロッテルダム, オランダ

1, 19 - 25
2009

 私はこの滞在で幾重もの空路の交点を見上げながら、私はある友人とのできごとを思い出していた。群馬県の山奥で起きた航空事故で彼女は父親を失った。
 父親の墓参りは山登りとなる。木々は当時の惨事忘れるように高く成長している。私には木漏れ日の届かない、深い空気の何処かに彼女のお父さんが未だいるような、そんな気がしていた。
 冠婚葬祭は私たちにあらゆる転機を受け入れる機会を与えてくれる。しかし、あらゆる場所に住む、あらゆる宗教を持つ人たちが乗り込んだ場所が、山の峰に出会い、人々が帰らぬ人となったとき私たちはどうしたら良いのか考えなければならない、そのような契機の中にいたのだと思う。彼女は、ここで慰霊祭をやるとしたらあなたの仕事はあっているかもねと言って事故の現場を雪で包み込む構想について話した。  彼女の気持ちは死者に花を手向ける気持ちとあまり変わらないところから始まって、私のこころにずっと留まっている。