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雪路

新潟県 糸魚川市 青海町

37°2'2.41"N, 137°49'24.50"E

11, 16 - 12, 7
2001

10年ぶりの帰郷で制作された作品。自分の住んだ家や学校、遊び巡った風景は大きくは変わらないものの、なぜか帰郷した実感の無いまま故郷を徘徊した。小降りだった雪がいつの間にか町をしとねに包み町が白く浮き上がっていたとき、私は何かを思い出し振り返った。足跡が蛇行して関心や想いに沿って曲がっていた。その雪に空いた穴が故郷への亀裂のように感じた私は足跡を雪かき、たどりはじめる。それは学校の帰りによくした寄り道や、家からまだ見知らぬ場所へと旅立った足取りをたどっていた。雪かきの過程でそこから分岐する他人の足跡や、動物の足跡をも全て掘り返していった私は、そこに浮かび上がりつつあるこの町に参加する様々な気配を感じていた。私はこの作品をきっかけに自身が住んだ土地での制作をしていくこととなっていった。自伝的な関わりを限りなく毛細化させる事で展開したこの作品は、たどる者を町の地熱や様々な人称、動物の生命観と地形の亀裂へとシフトさせる巡礼の道となった。